死にたいけど、死にたくない。死にたくないけど、死にたい。

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――殺してほしい。  頭の中にぽん、とあらわれた考えに、またかと思う。 ――今の嘘です。私はまだ死にたくありません。殺されたくないです。  本気にした死神に連れていかれないように、念のため脳内で訂正しておく。  きっと疲れているのだ。昨日も午前二時まで起きていたし。私はあくびを噛み殺した。  三限が始まったばかりの午後一時過ぎ。大学構内の学食はそこそこ混んでいて、私は、シラバスシラバスと騒ぐ(おそらく)一年生の合間を縫って、壁際の四人掛けの席にたどり着いた。ショルダーバッグを壁側の椅子に置くと、わりばしを割り、素うどんを口に運ぶ。  今日は四限だけだから、こんなに早く来る必要はなかったのだが、食事の準備がおっくうで、どうせ外に出るのなら学校で昼食を済ませてしまおうと思ったのだった。  食べ終わってポケットティッシュで口を拭うと、再びあくびが出る。正面から声が聞こえた。 「また寝不足?」  同じゼミのトモミだった。両手で持ったトレーの上には、そぼろ丼とミニラーメン、水が入ったグラスが載っている。トモミは私の許可も得ずに、テーブルの上にトレーを置いた。「よいしょ」と言いながら椅子を二つ引き出し、片方にリュックを載せる。どさりというすごく重そうな音。トモミが、私の真向かいの椅子に座る。彼女のお腹と胸が揺れた。テーブルの上のラーメンのスープも揺れた。
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