死にたいけど、死にたくない。死にたくないけど、死にたい。

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「ヒカリ、大丈夫? 具合悪そう」  思いがけないところからトモミの声が聞こえて、我に返る。トモミは姿勢を低くして、私の顔を覗き込むようにしていた。 「寝不足なだけだから。大丈夫」 「四限までちょっと寝たら? ウチ、起こしてあげるよ」  トモミが水を飲んだ。 「ありがとう。でも大丈夫だよ」  私はショルダーバッグとトレーを持つ。それを見たトモミが、立ち上がってリュックを背負った。 「そう? ならいいんだけど」  私は、トモミの気遣わしげな視線をよけるようにして、返却口に向かった。箸をバケツに入れ、うどんの汁を残飯入れに捨て、器を載せたトレーをベルトコンベアーに置く。トモミも私と同じ動きをする。  腕時計を確認する。午後二時。四限まであと三十分弱。微妙な時間だ。四限はゼミだから、トモミと同じ教室だ。おそらくこのまま行動を共にすることになる。面倒だと思ったが、トモミと別行動するために頭を使う方がもっと面倒だった。  振り返ってトモミに聞く。 「ねぇ。あと三十分どうする?」 「早めに行って、ゆっくりしようよ」  トモミが言うので、私は無言で頷いた。トモミが隣に並ぶ気配を感じながら、私は前だけを見て歩いた。
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