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ねぇ、覚えている? あの日のこと。
あなたに、初めて会った日。
あなたは、小学校五年生、私は、高校一年生。
あれは、夏の終わり。
木洩れ日が、眩しく、蝉が、一斉に鳴いていた。
あなたの乗った、ブランコ。
その膝の上に、私は乗った。
あなたは、驚いて私を、見た。
あなたの唇に、そっと唇を合わせると
あなたは、泣いた。
そして、こういったの。
僕、初めて、女の子を好きになった。と、、、。
それから、11月になって、私のお誕生日の日。
あなたから、プレゼントが、届いた。
それは、小さな、小さな、ピンクのダイアモンド。
となりに、もっと小さな、白いダイアモンドが付いた、指輪。
手紙には、こう書いてあった。
大工の棟梁の、お手伝いを、精一杯して、一万円
頂いた。これは、今の僕の、精一杯の贈り物だよ。
私は、嬉しすぎて、泣いたの。泣き続けたの。
泣きながら、少し遠くにいる、あなたに、電話をした。
ありがとう、、。それしか、言えなかった。
その指輪は、私の右手の薬指に、ぴったり。
その日から、外したことは、ない。
時が、たって、あなたと結ばれたけれど
時々、喧嘩をする。
でも、この小さな指輪を見ると、すぐに、私の心は、あの日に戻る。
ごめんね。
あなたは、私と同時に言う。
左手には、しっかりした、ダイアモンドが、あるけれど、、、。
私は、右手を、あなたに見せる。
精一杯の贈り物を。
すると、ふたりで、泣きながら笑う。
ねぇ、覚えているでしょう?
初めて会った日のこと。
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