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前の人に習い、階段横に繋がれたロープがわりの数珠を握る。
梵字の書かれたこの数珠は通路の道標となっており、手繰ることにより外へ出ることができる仕組みとなっている。
(胎内めぐりは菩薩の胎内をめぐるということ。この数珠も臍の緒を表しているということだが…良い歳をした人間が臍の緒を握って歩くというのも変な話だ)
だが、金輪に触れることで菩薩のご利益を得られるという魅力には勝てない。
大した欲もないが、貰えるものはもらっておきたいと思うのは人の性だ。
(通り抜ければ産まれ直したことと同じ意味になるようだが…煩悩甚だしいな)
そんなことに苦笑しながら階段を降りていると、私は寺の壁に掲げられた絵図へと目が吸い寄せられた。
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