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…通路はまさに鼻をつままれてもわからないような闇だった。
人々の息遣いや、衣類の擦れる音はすれど、光がいっさい無いがため自分がどこをどう歩いているかどうかさえもわからない。
頼りの綱は文字通り手に握っている数珠だが、焦るあまり手中で滑りかけ、前に進んだ人間との距離も空いてしまっているためにどことなく早足になってしまう。
必死に足を進めていると不意にわずかな光とともにキラリと光るものが見えた。
(…金輪か?)
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