胎内めぐり

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 背に熱気が漂ってくる。  漏れる光は赤く、何かが煮え立つような音さえする。  地の底から響く、くぐもった笑い。  …私の頬を汗が伝う。  嫌が応もなく連想してしまう。  寺の頭上で見た地獄絵図。  背後で起きていることはまさにそのように思えてしまい… 「…あの、落としましたよ」  前方から差し込む光とともに私は背後を振り返る。
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