胎内めぐり

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「前にいた男、金輪をつかんだ途端に扉のように開きまして。持ってた財布を放り出して下に落ちていったんです。直後に扉も消えましたし…全く、同業者のあんな姿を見ちゃあ、財布を返すしかないじゃないですか」  驚く私を追い越すと男はこう続けた。 「菩薩様は案外ちゃあんと見ているもんですね」  男を目で追う私…だが、男は既に雑踏の中へと消えた後であった。
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