余興のトマトジュース

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 きっと、今の私はとても(ほころ)んだ顔をしている。 「これからも、私の使用人として傍にいてくれないか?」  穏やかな気持ちで伝えた直後、使用人たちはドカッと両膝を床についた。何事かと目を凝らすと、3人とも涙を流している。心配になり声をかけようとしたが、彼らは上体を反らし、両腕を高く上げながら天井を仰いだ。 「もちろんでございます!!!」  使用人たちは声を揃えて答えた。  キミたち共鳴でもしてるの?  そのポーズ、初めて見たよ。何を表現してるの?  興奮状態の彼らの姿に顔が引きつりそうになったが、どうにか堪えることができた。 「と、ところで、気になることがあるんだ」  目の前の異常気象をなだめたい気持ちもあったが、ずっと解決していない疑問が残っている。  奇妙なポーズをしていた3人は軽やかに立ち上がり、スッと涙をぬぐった。  こちらの声が届いたようで一安心だ。  彼らが聞く体勢になったところで、(いま)だデスクの上に佇んでいるグラスをチラリと見た。 「トマトジュースは結局、誰が入れたんだ?」  後からガンマが置いたグラス……じゃない方を指す。  トマトジュースの犯人探しがしたいわけではない。ただおいしかったので、仕事終わりでないタイミングで、また飲みたいと思ったのだ。  使用人たちは、それぞれ顔を見合わせて、アイコンタクトをとっている。最終的にベータとガンマが、アルファに視線を集中させた。  アルファが説明することになったらしい。彼は頷いて納得すると、私と目を合わせる。 「我々の(ジュース)を持ち寄り、順番にお入れしました。イチオシのブレンドでございます」  アルファ、ベータ、ガンマは、敬愛する主人に目を細めた。
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