9人が本棚に入れています
本棚に追加
きっと、今の私はとても綻んだ顔をしている。
「これからも、私の使用人として傍にいてくれないか?」
穏やかな気持ちで伝えた直後、使用人たちはドカッと両膝を床についた。何事かと目を凝らすと、3人とも涙を流している。心配になり声をかけようとしたが、彼らは上体を反らし、両腕を高く上げながら天井を仰いだ。
「もちろんでございます!!!」
使用人たちは声を揃えて答えた。
キミたち共鳴でもしてるの?
そのポーズ、初めて見たよ。何を表現してるの?
興奮状態の彼らの姿に顔が引きつりそうになったが、どうにか堪えることができた。
「と、ところで、気になることがあるんだ」
目の前の異常気象をなだめたい気持ちもあったが、ずっと解決していない疑問が残っている。
奇妙なポーズをしていた3人は軽やかに立ち上がり、スッと涙をぬぐった。
こちらの声が届いたようで一安心だ。
彼らが聞く体勢になったところで、未だデスクの上に佇んでいるグラスをチラリと見た。
「トマトジュースは結局、誰が入れたんだ?」
後からガンマが置いたグラス……じゃない方を指す。
トマトジュースの犯人探しがしたいわけではない。ただおいしかったので、仕事終わりでないタイミングで、また飲みたいと思ったのだ。
使用人たちは、それぞれ顔を見合わせて、アイコンタクトをとっている。最終的にベータとガンマが、アルファに視線を集中させた。
アルファが説明することになったらしい。彼は頷いて納得すると、私と目を合わせる。
「我々の血を持ち寄り、順番にお入れしました。イチオシのブレンドでございます」
アルファ、ベータ、ガンマは、敬愛する主人に目を細めた。
最初のコメントを投稿しよう!