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目の前で、白熱した議論が交わされていた。
「最初の服がよかったんだけどなぁ~タオさんは、7着目が良いって言うのか?」
「はい。年相応に見られたいと言うなら、少しでも幼さを見せない方が良いと思うんですよね。」
「幼さか・・・だったら、4番目に着たのは可愛かったが、アウトだよな~」
「ポップ系が似合うと思うんですよね、弟さん。あれだったら、こういう帽子もつけるとさらにキュートになりますよ?」
「うわ!絶対に似合いそう!!だけどな~15番目に着たのは大人っぽいけど、あざとく見えてなぁ~・・・」
「そうですか?ちょい悪に見えてカッコよかったですよ?ただし、男らしさを前面に押し出すなら、断然18着目の服をお勧めします。」
「あーこれかぁ~?これもいいなぁ~・・・!けど、ズボンがだぶだぶだから、凛がつまずかないか心配で・・・!」
「成長期ですから、大丈夫ですよ。背は伸びます。本当に弟さん想いなんですね~」
(そう思うなら、早く切り上げて下さい・・・!)
試着室の隣のわずかなスペースで、瑞希お兄ちゃんと店員のタオさんが話し合っていた。
お題は『凛(弟)に似合う服』だった。
二十数着を着替え終わった私を待っていたのは、どの服がよかったかという彼らからの問い。
(どれもこれも高いのに・・・)
「あの・・・申し訳ないのですが、目移りしてしまい・・・自分では決められないので、次回買いに~」
買いに来ます、と言う前に2人は言った。
「「じゃあ、こっちで決めよう!」」
「ええ!?」
なに言ってんの!?
何で息ピッタリなの!?
そんなことされたら、確実に買わなきゃなくなるじゃん!?
私の財布の中身は、8千円なんだよ!?
あなた方が持ってるシャツ一枚、最低価格が1万円なんですけど!?
予算オーバーなの!
恥ずかしくて言えないけど!!
(てか、このままじゃ、お金がないって言わなきゃいけなくなる~!)
そんなことになったら――――――――!?
(私はともかく、瑞希お兄ちゃんに恥かかせちゃうよー!!)
〔★常に、瑞希第一主義だ★〕
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