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「お客様~おつりお忘れですよ~」
「ああ、とっといてくれ。気分が良いんだ。」
「いえいえ。お気持ちだけでありがたいです。今後とも、ごひいきにして頂ければ~」
「そうか?じゃあ、カッコ悪いけど・・・凛、お金受け取ってくれ。」
「はい、瑞希お兄ちゃん!」
照れくさそうな瑞希お兄ちゃんが見れて、ほくほく顔の私。
おつりとレシートを渡すタオさんの顔もほくほくしてて、目が合えばどちらともなくニコッと笑った。
そして、ふと見たレシートのお買い上げ金額を見て、シルキロールしたの口元が引きつる。
(そりゃあ、店的にはホクホクだろうーぜ・・・。)
7着も買って下されば、こんな金額になるよね・・・
スタッフ総出でお見送りしてくれた。
「ありがとうございました~またお越しくださいませ♪」
「お兄ちゃん・・・」
「いや~買った買った!気分良いぜ!」
「お兄ちゃん・・・」
「ああ、おつりは凛にやるよ。小遣い小遣い。」
「お洋服買って下さり、まことにありがとうございました。せめてものおわびに、お買い上げの服、すべて僕が持ちます。」
「ははは!なにかしこまってんだよぉ~?いいって。」
「よくないです!なんですか、あの金額は!?何人の福沢諭吉さんを渡したんですか!?」
「樋口一葉も渡したぞ?いいから気にすんな!俺が凛を好きだから買ったんだ!」
「う・・・ずるいですよ・・・お兄ちゃん!」
好きだからしたなんて言われたら、なにもいえないじゃないですか?
「ほら、すねるなすねるな!じゃあ、半分だけ持ってくれな?」
「うん。」
渡されたショップの袋は重かった。
この重みが愛なのかと思うと胸のトキメキが止まらない。
その上・・・
「迷子になるぞ。」
「あ。」
私と手をつないでくれたから、もう幸せのメーターが上がりっぱなし!!
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