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「せっかくキレイなのに~インク切れで放置してどうするんですか?」
「うははは!ちゃうねん!それな、持ち主が手入れすると、持ち主が気にしとる子に幸せがやってくるんやって、わしのばあちゃんが言ってんねん!」
「え?元々は、おばあさんの物ですか?」
「うははは!食いつくとこ、そこちゃうで!『幸せがやってくる』に注目せなあかんやん!?わしが気にしとる子は凛で、わしと凛は1日に1回はこうやって昼めし食うために会うやろう!?せやから、飯食う前に、わしが凛を思って万年筆を手入れしたるさかい、学校で菅原凛しとる間は肌身離さず持っとくんやで!?」
「え・・・そんなすごいものなら、ヤマトが自分で使ったらいいじゃないですか?」
「うははは!わし、持ち主やからあかんねん!」
「僕が持ち主になりましょうか?」
「うはは!ええから、ええから!気持ちだけでええって!ほれ、制服の胸ポケットに出もさしとき~!」
そう言うと、強引にポケットにねじ込むヤマト。
「烈司はんのお守りには負けるけど、なんかの役に立つやろう!」
「ヤマト・・・ありがとう・・・!」
親友の優しさに、心が温かくなる。
「これで凛がわし好みのカワイコちゃんなら、愛が生まれるんやけどなぁ~!?うははははは!」
「・・・・喜ぶべきか、悲しむべきか、僕は複雑だよ。」
〔★ヤマトはブス専だ★〕
「ところで凛!今夜、集会するって、えんなんとか君から来たんやけど!?」
「え~?決定事項なんですか?」
「龍星軍で走れて、嬉しいらしいわ!うははははは!」
「・・・最近多いですね。」
夏休み終盤に、改めて(?)龍星軍の集会をした。
新学期になってからは、数日おきに走っている。
ハッキリ言って寝不足になるので、私はあまりやりたくない。
第一、 お目当てである好きな人と過ごせる時間がない。
「うははは!凛、やる気のなさが顔に出てるで!?」
「眠いんですよ・・・やりたいなら、円城寺君達だけでしたらいいでしょう?」
「せやな!わしも今夜は野球見たいねん!わしらは不参加にしとこうや!うははは!」
「そうしましょう。総長がいなくても、総長代行の円城寺君がいればいいですもんね。」
私がうなずけば、素早くスマホをタッチするヤマト。
きっと、円城寺君に不参加の連絡をしてくれているのだろう。
スマホを触り終わるとポケットにしまいながら言った。
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