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もう1人の私の名前が出た以上、のん気に悪口の落書きを消してる場合じゃない。
消しゴムで汚れを消しつつ、奴らの会話に耳をかたむける。
「ルノアのサインボールを打ち返すとか、なめてるだろう!?龍星軍の頭だからって、調子に乗りすぎじゃねぇか!?」
「それ他の奴らにも言われた。つーか、聞き飽きてるから。」
「他人事かよ、ルノア!?」
どうやら、私が悪霊のサインボールを打ち返したのがもめてる原因らしい。
〔★凛の渕上呼びは、『悪霊』で決定した★〕
「落ち着けよ、アダム。」
「そうだよ。きっと、ルノアのサインボールの価値、わかってなかったんだよ。」
(いいえ、1円の価値もないとわかってる。下手すれば、借金クラスのアイテムにしかならない。)
フォローする取り巻に対し、心の中で突っ込んでみる。
「凛道さん的にはさ、哀れな豚ファンにフッチーのサインをめぐんでやったってことなんじゃん?やり方はまずかったけどさ~」
「あのキモイオタク親父、ルノアのサインボール、SNSにあげまくってるんだけどさ~ガチでヤバすぎなんだよねーもっとべつの人に施せばいいのにさぁ~」
「あ、俺も見た見た!アダム、お前も見るか!?マジで、笑えて~」
「見ねぇよ!!」
お調子者の中山が差し出したスマホを、罵声をあげながら飯塚が振り払う。
切れた様子で飯塚が中山をにらめば、お調子者の中山は動揺する。
「ア、アダム!?なにす・・・」
「お前が俺と同じ立場なら、今の態度、ムカつかねぇわけ・・・!?」
「ご、ごめん・・・!」
強い者にはヘタレな中山が謝る。
それにしたうちで答えると、渕上へと視線を戻しながら飯塚は言った。
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