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順調に単車を走らせ、国道づたいで隣町まで入る。
異変が起きたのは、国道を降りた時だった。
カンナさんが片手をふったと思えば、片側に単車を寄せて止まった。
(まさか、故障!?)
彼女の少し後ろにバイクを止めた時、カンナさんはポケットからスマホを取り出していた。
それを耳にあてたかと思うと、怒鳴り声が響き渡った。
「あん!?んだそりゃ!?気まぐれにもほどがあんぞ!?」
とても不機嫌な声。
何かあったのだと思う。
ジッと見ていれば、私の視線に気づいてバツが悪そうに声のトーンを落とす。
「わーったよ!検問に引っ掛からねぇようにする!ああ、ああ、最悪、バレるかもしれねぇけど、引き合わせるから!じゃあな。」
最後は優しい口調で終わった。
「なにかありましたか?」
スマホをしまう相手に聞けば、ムスッとした顔で言われた。
「よその集会とかぶっちまったんだよ。」
「え?鬼桜以外で、集会をするチームがあるんですか?」
「そーだよ!『伽藍道(がらんどう)』っていう人数が多いチーム!そいつらが、検問張ってるらしいんだよ!誤魔化すのが面倒くせぇ!」
「へえ~名取公園まで、あとどれぐらいなんですか?」
「って!?あたしの話を聞いてたか!?」
「検問が面倒なんですよね?」
「っ・・・そーだよ!龍星軍だとわかったら、ややこしいって話だよ!」
「僕ら、鬼桜に用があってきてるんでしょう?『伽藍道(がらんどう)』に用はないです。」
「あのなー!今じゃ凛道蓮率いる龍星軍は、『全国最強のナンバー1暴走族』って言われてんだよ!対抗意識もたれてて、もめたらまずいだろう!?」
「あ、そうでしたね。円城寺君達に内緒で来てましたもんね~」
「そうだけど、気にするのはそこかよ!?危機感ねぇな~たく・・・凛、携帯貸せ。」
「はい。」
差し出せば、画面タッチして何かし始める。
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