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『伽藍道(がらんどう)』のバイクが急発進した時点で、無意識に体が動いていたようだ。
パトカーと少年の間に割って入り、車の下敷きになりかけた男子をつかんだ。
グイ!
「おおお!?」
腹のベルトをつかみ、車体を斜めにしてパトカーに蹴りを入れた。
ドカッ!
《おおお!?》
踏み台にしたパトカーでバランスを取り、ヤンキー男子をつかんだ状態で脱出した。
キィィイイイイイイ――――――――!!
バイクをうねらせながら、スピードを殺す。
止まった時には、ガードレールギリギリだった。
(・・・・セーフ・・・・!)
ドッ、ドッ、ドッ、ドッ!
エンジン音と心臓の鼓動が重なる。
「大丈夫か?」
「・・・あ・・・?あ!?あ、ああ・・・・!」
つかんでいるベルトをゆらしながら聞けば、呆けた声で返事をする少年。
思っていたよりも、体格はいいし、身体も重たい。
「手を離すぞ?立てるか?」
パトカーに視線を送りながら聞く。
「あ、ああ。立てる・・・!」
追撃していたどのパトカーも、変な向きで止まっていた。
足蹴にしたパトカーのみ、前方部分がへこんでいた。
「お、おい!お前ら、そこを動くな!」
「て、抵抗するなよ!?」
車から無傷で降りてくる警官達。
あちらの損害は少なそうだったが、その態度が気にくわない。
「アホくせー・・・それが人殺しを防いでやったやつに言う礼か?」
低く冷たい声で言えば、警官達の足が止まる。
そんな大人達を無視して、バイクの位置を変える。
バウン!!
リーゼント君の前に単車を横付けする。
「乗れ!」
「え・・・?」
ポカーンとする男子の頭に、かぶっていたヘルメットをかぶせる。
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