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瑞希お兄ちゃんにくっついたまま、恋のジレンマに悩む。
そんな私の頭を、手荒れした手が撫でた。
「そんじゃ、出かけっか?行きたいところとかあるか?」
「え!?いえいえ!瑞希お兄ちゃんとなら、どこへでも!」
「おいおい、凛の行きたい場所を聞いてんだぞ?」
「お兄ちゃんと一緒なら、僕はどこでもいいんです!一緒にいることに意味があるのです!」
「ははは!そうかよ~それじゃあ・・・ショッピングモールでも行ってみるか?」
「は、はい!」
私の髪をくしゃくしゃしてから手を離すと、代わりに半ヘルメットを渡してくれた。
それをかぶっているうちに、瑞希お兄ちゃんがバイクにまたがる。
頭の防備が出来たところで、彼のインパルスの後ろに乗る。
私がシートに腰を落ち着ける間に、瑞希お兄ちゃんもヘルメットをかぶり終わる。
「でっぱるぞ!」
「はい!」
ブロロロロロン!
瑞希お兄ちゃんのバイクのエンジンが火を噴く。
彼の腰に両手を回す。
「ちゃんとつかまってろよ?」
「捕まってまーす♪」
最初の頃は、「男同士での密着はキモイだろう!?」と怒られたけど、今は何も言われない。
逆に、今みたいに、ちゃんとつかまってないと怒ってくるようになっちゃうなんて~!!
(これも私のラブストーリーが、一歩前進ということかしら~?)
〔★単に瑞希が凛を『弟』として大事にしているだけで、ラブではない★〕
心臓の鼓動を隠すように、マシンが激しくうなる。
ブロン!ブロロロロ―――――――ン!
私の乙女心を乗せ、バイクは軽やかに発進する。
今日は何か、良いことが起きそうな予感がした。
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