遅刻ギリギリ

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仲の良い友人もいて当たり障りのない高校生活を送っていた。 「ちょっと琴江(コトエ)今日もギリギリじゃん」 教室に滑り込むと同時に友人の宮成泉(ミヤナリ イズミ)のニヤニヤ顔が出迎えてくれた。 「セーフはセーフだよ」 あたしはそう返事をして泉の前の席に座った。 先日行われた席替えで、あたしと泉は前後の席になった。 あたしは息を整えて自分の席に座り、鞄を机の横にかけた。 教科書類は後から片付ける。 他に会話をする暇もなく、担任の先生が教室へ入ってきて授業が開始されたのだった。 ☆☆☆ 「お前、本当に朝が苦手だなぁ」 呆れた声で言ってきたのは同じクラスの石井勇人(イシイ ユウト)だった。 勇人は背が高く1年生の頃からバスケをしているため女子生徒たちに人気があった。 「まぁね」 あたしは曖昧に答えて苦笑いを浮かべる。 勇人とあたしは2年に上がってから仲良くなったのだけれど、勇人の適当っぷりは目に余るものがある。 さっきだって友達に教科書を借りたまま3日も返し忘れていたようで怒られていたし。
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