遅刻ギリギリ

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「俺でももっと早く登校してきてんのになぁ」 勇人は両手を頭の後ろで組んでニヤニヤと笑ってあたしを見ている。 「勇人にしては珍しいじゃん」 嫌みを込めて言うと勇人はバスケットボールをシュートするジェスチャーをして見せて「朝連があるからな」と言った。 その様子に勇人は本当にバスケが好きなのだなぁと思う。 バスケのことを話している時の勇人はいつも目が輝いているのだ。 「あたしはそういうのないし」 今度は突っぱねるように言う。 すると勇人は呆れた表情を浮かべた。 「お前な、本気になるものないのかよ」 「ないね」 スパッと言い切り、鞄に入ったままの教科書やノートを机の中に移動していく。 「それ人生の大半を損してるぞ」 勇人が真面目腐った顔で言うから、思わず笑ってしまいそうになる。 あたしは両頬に力を込めて笑顔を消し、勇人を見た。 「そんなことない。あたしはあたしで普通に生活してるから」 だから勇人には関係ないでしょう? そこまで言ってしまいそうになり、慌てて口を閉じた。 勇人はそんなあたしに更に呆れ顔だ。
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