1625人が本棚に入れています
本棚に追加
「ありえない、ありえない! ここはわたしの世界なの! わたしがこの世界のヒロインなんだからああああ」
ソフィア嬢は髪を振り乱し、半狂乱状態だ。そんな彼女に、誰も手を差し伸べられない。
陛下が近衛に手で合図をすると、彼女は父親の男爵もろとも何処かへ連れて行かれてしまった。
その背中を視線で追う殿下に、もう少し言っておく。
もうすでに精神的に瀕死の状態だろうけれど。
「ええと、わたくしもあの子があんなにアレだとは思わなかったので……そこは同情しますが。わたくしたち、早く話し合えば良かったですわね。殿下のことは、全くお慕いしておりませんでしたので」
「な!」
「ですが、それでもやはり、7年も一緒にいたのです。あらぬ罪を被せられ、娼館送りにされるなど、分かっていても悲しかったですわ」
そして。
「……わたくしはあの時申し上げたはずです。神に誓って彼女をいじめたりなどしておりません、と」
ここが、本当の幕引きですわね。
最初のコメントを投稿しよう!