20 ゲームの時間は終わりました

2/4
前へ
/137ページ
次へ
「ありえない、ありえない! ここはわたしの世界なの! わたしがこの世界のヒロインなんだからああああ」  ソフィア嬢は髪を振り乱し、半狂乱状態だ。そんな彼女に、誰も手を差し伸べられない。  陛下が近衛に手で合図をすると、彼女は父親の男爵もろとも何処かへ連れて行かれてしまった。  その背中を視線で追う殿下に、もう少し言っておく。  もうすでに精神的に瀕死の状態だろうけれど。 「ええと、わたくしもあの子があんなにアレだとは思わなかったので……そこは同情しますが。わたくしたち、早く話し合えば良かったですわね。殿下のことは、全くお慕いしておりませんでしたので」 「な!」 「ですが、それでもやはり、7年も一緒にいたのです。あらぬ罪を被せられ、娼館送りにされるなど、分かっていても悲しかったですわ」  そして。 「……わたくしはあの時申し上げたはずです。神に誓って彼女をいじめたりなどしておりません、と」  ここが、本当の幕引きですわね。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1625人が本棚に入れています
本棚に追加