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最終章 終わりと始まり
「え……? アレクさまも、罪が問われるのですか?」
王宮から家に戻り、お父様からその事実を聞いたわたくしは愕然とした。
確かにわたくしも途中まではアレクさまもあちら側の人だと思っていた。
だけど、実際は在学中から陰ながら犯人探しをしてくれていたようだし、断罪後は証拠集めや情報操作、それに周囲への根回しに奔走していた事を色々な人から聞いていたから、当然、彼はお咎めなしだと勝手に思い込んでいたのだ。
(明日が最後になる、と言っていたのはこのことだったの……?)
裁定の前日、彼が触れた手をじっと見つめる。
今まで密かに見守っていてくれたであろう彼に、お礼を言うことも出来なかったなんて―――
そうして慌ただしい日々が流れるように過ぎて行き、あれからすでにニ週間が経過していた。
彼らへの刑は既に執行され、それぞれが王家の決定した『相応しい場所』へと送られた。
それが何処なのかは、ごく一部の者しか知らない。
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