最終章 終わりと始まり

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 どうぞ、と声をかけると、近づいてきたバートは空いている席に腰掛ける。  給仕された紅茶をひとくち飲むと、鳶色の双眼がわたくしを真っ直ぐに見ていた。 「――ディアナ様に紹介したい人がいるんです。さあ、こっちに来てくれ」  バートは扉の方向を見て呼びかける。  そうして扉の向こうから現れた従者の格好をした青年が、わたくしに向かって深く礼をする。  その青年は紺色の髪色をしており、眼鏡をかけている。  いやいやこの人、どこからどう見てもアレクさまですね。 「ディアナ様、初めまして。アレク=ブラウと申します。ランベルト様の従者をしております」 「!」  その自己紹介に驚いて、バートを見ると、彼は悪戯が成功したような顔で、くつくつと笑っている。  その優しげな顔で魔王みたいに笑われると余計に怖いですわ。 「おふたりとも?全て、話していただきたいのですけれど?」  ディアナなりに、低い声が出た。 (紺黒コンビ、全て洗いざらい話しなさい……!) 「まあ、そんなに怒るな。事情があるんだから、君も大体分かるだろう?」
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