最終章 終わりと始まり

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「……それは、そうですけれど。というか、バートの顔でその話し方をされるとまだ違和感がすごいわ」 「そこは慣れてくれ。元々はこっちなんだ。行き先は私の祖国であるエンブルクだからな。君も身分を偽る以上は話し方を考えた方がいいのでは?」 「それもそうですわね。ランベルト様、これからわたくしの事はディアと呼んでください。アレクさまもですよ?」 「ディア様、ですね。外ではそう呼びます。ところで、僕に?様?を付ける必要はありません。僕は平民ですので」  説明してほしい、という意味を込めてバートを見る。 「分かった分かった、説明する。それから私のことも、普段はバートと呼んでくれ。アレクのことだが……」  そうしてバートはようやく説明を始めた。  アレクさま……いえアレクは殿下の側近だった立場上、あの断罪劇を招いた責任をとる必要があると考えていたこと。  陛下や宰相さまには慰留されていたこと。  その場に立ち会ったバートが、折衷案として提案したのが『平民の身分で、従者としてエンブルクに連れて行く』というものだったそうだ。  貴族籍の剥奪、王都追放、確かに表向きの要件は全て満たしている。
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