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「うちの国はユエール王国よりも実力主義だ。アレクの実力なら平民の身分でもすぐに登り上がれるだろう。何より、こんな優秀な人材を他の側近たちと同じように地方で埋もれさせるのは惜しい。だったらエンブルクにもらおうと思ったんだ」
「まあ……そうだったのですね」
バートの傍らに立つアレクをまじまじと見つめる。
いやこんな平民いないだろって感じですわ。わたくしの平民設定を止めた侯爵家のみんなの気持ちがよく分かったわ。
「アレクさま、いいえ、アレク。エンブルクに着いたらわたくしと共に新しい眼鏡を買いに行きましょう!」
「え?は、はい?」
「もっさり眼鏡で別人に擬態するのですわ!楽しみですわね」
彼が無事で、良かった。
どう考えても苦労人で貧乏くじを引く感じの人だから、なんか強運そうなバートと共にいれば、きっと大丈夫だろう。
それに、新天地であるエンブルクでの知り合いがひとり増えて少し心強くもある。
(せっかくの異世界転生ですもの。わたくしはこの世界を満喫するのよ!目指せ敏腕経営者ですわ)
目の前に置かれた紅茶をもうひとくち飲む。
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