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顔面には無表情を貼り付けたまま、感心する。
(乙女ゲーム的には、あの子の逆ハーレムエンドなのかしら?みんなでひとりの女の子を愛するってどんな状況なのかしら?彼らの中にはドロドロの愛憎劇は無いのかしら?わけわからん)
そんなわたくしの胡乱な気持ちが顔に出ていたのか、殿下はますます目尻を吊り上げて、怒って何か言っている。
多分、わたくしがあの子をいじめたとかなんとかかんとかでしょうね。
もはやテンプレすぎて何も頭に入って来ない。
えーと、次の展開はなんだっけ、と別のことを考えていると、殿下の発言に今まで静まりかえっていた会場が俄かにざわめくのを感じた。
え?何言ったの?聞いてなかったんだけど……
『私』には、前世の記憶がある。
日本という国で、一般家庭に育ち、大学を出た後は地元の公務員になった。
自分で言うのもなんだけど、それなりに普通に成長して、ブラックでもない部署で働き、毎日大体定時に帰ってのんびり過ごしていた。
スマホアプリの乙女ゲームにハマって、課金するかどうか毎日悶々と悩みながら過ごしていたある日、唐突に『私』の人生が終わった。
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