空と森とスニーカー

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 パラついていた雨も、気がつくともう上がっていた。  皐月は借りたばかりの傘をたたんだ。  水を含んだスニーカーが音を立てる。  水たまりを飛び越えた。  顔を上げると、雲は去り始め、朱色の空が山の稜線に広がっていた。  夏が終わりかけていた。  これからどうなるか、遠い先のことまではわからない。  けれど、少し見えはじめた明日のことを、他に何もいらないくらいに、待ち望んでいる。
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