空想未来少年リターンズ

3/8
前へ
/8ページ
次へ
 くだらないこと、とか言ってしまった。  全然くだらないことではなかった。むしろその興味を伸ばしてあげたい。やってしまった。  いや、しかし、これは世界史の人物だ。何故10歳の子供が世界史の用語を知っていたのか。中学か高校の知識ではないのか。つい最近までは、あのゲームがどうとか、この漫画はどうだとか、そんな事しか言っていなかった気がするのに、突然どうしたんだろう。  ……もしかして、あの子は頭がいいのか?  そうとしか考えられない。突然ヘロドトスとか言い出す10歳児なんて、頭が良いに決まっている。  どうしよう。僕は今まで中の下くらいの頭脳で生きてきたので、頭の良い人とどうやって接していいかがわからない。まさか自分の息子が頭の良い人だとは思ってもみなかったので、正直困る。頭の良い人と何を喋ればいいんだろう。すごく困る。  いや、しかし、僕は出張も多くあまり息子に構ってあげられない時もあるのだが、僕の知る限りでは、あの子の学校の成績はそれこそ並だったはずだ。たまに遊んであげる時も、ゲームと漫画にしか興味を持っていなかったと記憶している。  どういうことだろう。学力って突然覚醒するものなのだろうか? それとも何かの間違いなのか? できれば間違いであってほしい。頭の良い人と何をどうやって接していいかがわからない。自分の息子とどう接していいかがわからないなんて、どうすればいいんだろう。  15分程だろうか。暫く悩んでいると、息子が子供部屋から出てくる。 「宿題、終わったよ」  ……早い。  やはり天才なのか。  これは良くない。  いよいよもって、息子との向き合い方を考え直さねばならないようだ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加