空想未来少年リターンズ

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「あのさ、お父さん」  息子は再び、僕を名指しで声を掛けてくる。僕は身震いした。 「インフェクションスプレッドって何だっけ?」  ……何だそれは?  天才の疑問に答えられる知識など、僕にあろうはずがない。  僕は焦って妻を探す。少し離れたソファーに寝そべってドラマを見ている。絶対に援護はしてくれない。  天才とはいえ、やはり10歳の我が子。我が子の疑問に答えられなければ、生涯息子に見下されて生きる憂き目にあう。妻にも見放される。最悪の場合、離婚問題にまで発展し、おそらく養育権は奪われ僕は年に一回くらいしかこの天才に会えなくなる。それは寂しい。天才との接し方は全くわからないが、それは寂しい。  何とか僕が疑問に答えねばならない。  少し考える。  天才の疑問だ。間違いなく学問的な用語だろう。それは間違いない。明らかに科学的な響きと匂いを発しているし、間違いなく頭の良い単語のはずだ。何かちょっとカッコいい響きもするし。  であれば調べる時間を稼ぐしかない。  調べに調べて、この天才の鼻っ柱をブチ折ってやる。  そうすれば僕は息子に見下されもせず、離婚届けも突き付けられず、息子とも毎日会えるはずだ。でもその場合は毎日天才と接する必要もあるわけで、それはそれで辛い毎日が待っている気がするけども、やっぱり息子が可愛いことは揺るがない。  やはり僕にはインフェクションスプレッドについて調べる時間を稼ぐ必要がある。
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