風のハープ

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 ある日のことです。  小さな町で、いつものようにハープを奏でながら歌を唄っていましたが、集る人も少なく、帽子の中には初めから入れてあるコインしかありませんでした。  男の子もお店からお店へと何か手伝わせてくださいとお願いして回りましたが、どこからも相手にしてもらえませんでした。  これではお酒どころか食事もできません。  もう春が近いとは言え、野宿するにはまだ寒いでしょう。 「おまえ、さっき通ったパン屋でちょっと失敬して来い」  男の子は心臓が飛び出しそうになるほど驚きました。
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