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「どんなハープにしたいんだい?」
「わしはこれまで数えきれんほどハープを作ってきた。いつも思っていたのは、ハープを奏でる者の心がそのまま表われるようなものにしたいってことだ」
「そのまま表われるもの?」
「子どもにはむずかしいか。……心にはいろんな風が吹いている。その風が聴く人の心にも吹くようにってことだ」
男の子はこくんとうなずくと、すうっと消えました。
すると手の震えも止まり、目の前のヴェールのようなものも消え、節々の痛みもなくなりました。
おじいさんは作りかけのハープにかがみ込むと、のみを素早く動かし始めました。……
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