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完成したハープに朝の陽射しが当たったときには、おじいさんは眠るように死んでいました。
微笑みを浮かべながら。
そのハープはおじいさんの望みどおりのものになりました。
最初に持ち主になった吟遊詩人は春のような心を持っていました。
だから、冬でもその音色を聴いた人たちは、花を咲かせる春の風が吹いてきたと思いました。
あたたかい気持ちになり、ほっとしてこっくり、こっくり眠ってしまうのでした。
次の持ち主は夏のような心を持っていました。
そのハープを聴く人には木陰に誘うような夏の風が吹きました。
みんな外套を脱ぎ捨て、陽気に踊り出してしまうのでした。
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