風のハープ

8/15

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
 その次の持ち主には心がありませんでした。  だから、なんの風も吹きませんでした。  とても上手なハープ奏者だったんですが、聴いた人たちは何も感じなかったので、地面に置かれた帽子におカネを入れる人はいませんでした。  いつも貧乏で、そのため奥さんに愛想をつかされ、逃げられてしまっていました。  残された小さい男の子を連れて、町から町へとさまよっていました。  わずかなおカネをお酒に変えて、愚痴ばかり言うようなすさんだ毎日を送っていました。  そのおカネも男の子が酒場のお使いをしたり、お菓子を町の広場で売ったりして稼いだものでした。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加