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松朋は音楽学校の為、圧倒的に女子学生が多い。女子校の雰囲気さえ漂っているほどだが、東応大は全くその逆だ。
まるで男子校と言わんばかりの男たちの群れである。
それでなくとも奥手な、日向以外の男には全く免疫のない真璃亜は「どうしよう……」と、酷く心細くなってきていた、その時だった。
「ああ、君ちょっと!!」
「え?」
ばしゃっ! カシャッカシャ ぱしゃっ!!
突然、後ろからシャッター音がして、真璃亜が振り返るとそこには
「うん、やっぱりだ。君、かなりイケテルよ!」
見知らぬ男子学生が、撮ったばかりの数枚のポラロイド写真を見ながら一人ごちている。
真璃亜はわけがわからず、そのまま辞しても良いのかどうか迷った。
「あ、あのう……」
「君、新入生だろう。名前は? どこの出身? クラブはもう決めてるの?」
矢継ぎ早に彼は真璃亜に問いかけてくる。
その言葉にどう応えて良いものか、真璃亜は更に迷いあぐねた。
ただ、まじまじと彼の顔を見つめる。
身長180㎝くらいの長身。
髪は流行に似て、金色に染めたその先が外側へと何気にはねている。
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