春の嵐

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 客観的にみてもそう、かなりの美少女だ。  その薄い桜貝のような耳元には、あの忘れ難い初めての夜の想い出に日向が贈った大粒のパール・ピアスが、純情可憐に揺れている。  心配だ。  真璃亜に悪い虫がついたらどうしてくれよう……。  ただですむと思うなよ、というオーラを全身で発しながら、日向は真璃亜を衆目から庇う。  日向にとって、だがしかし。  それは「受難の日々」の幕開けであった。  ────────・・・
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