マリアの微笑

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「やあ、日向君。来たね。紹介しよう。こちらが、我が校の名誉ある出身でもある千堂明先生ご推薦のピアノ科特待生、小野真璃亜君だ。函館で、私の古い友人でもあるお母上からずっとレッスンを受けていたのだが、この度、千堂先生の目にとまってね。ウィーン留学も視野に入っていたところ、高等部卒業までは日本で学びたいという小野君の意志を尊重して、うちで学ぶことになった」  椅子から立ち上がり、理事長は 「何分、単身上京してきて間もない身だ。外部新入生ということもあるが、今年は二年ぶりに伝統ある院内音楽コンクールが開催される。君は前回のコンクール優勝者として、また生徒会長としても、小野君のことには特に気を配ってやってくれないか」  そう滑舌に、上機嫌で俺に説明した。 「ピアノ科・高等部新入生の小野真璃亜です。よろしくお願い致します」 と、やや緊張気味に折り目正しく、小野は挨拶した。  これが、俺と小野との初めての出逢いだった。 「小野さん、入学おめでとう。ヴァイオリン科・高等部三年で生徒会長の日向遙希です。わからないことがあればなんでも相談してほしいね」
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