ヒトは見かけによりませんので

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入学式。 僕は内心浮足立っていた。 新しい環境。新しい生活。 すべてが輝いて見えて、此処こそが僕の居場所なんだって思えた。 「はーい、では自己紹介をしましょう。でも、普通にするのだと印象に残らないから……」 どうやら今回の担任の先生はなかなかに知恵のある人らしい。 僕たちは1人1人、黒線で4分割された画用紙を渡された。 「今からみなさんには、この紙に自分に関することを4つ書いてもらいます。ただし、そのうちの1つだけウソを書くこと」 それで、自分の番になったときにその紙を見せ、みんなにどれがウソかをあててもらうという内容だった。 5分間の制限時間が設けられ、各々が机に向かい枠を埋めていく。 4つ。4つかぁ。何書こっかなぁ。僕はどこにでもいるような平凡な人間だから、特別書くことが思い当たらない。とりあえず誕生日だの血液型だのでマスを埋めようとすると、教壇から声がかかる。 意外性のあるものがいいですよ、みんなにあまり知られていないこととか。そのほうが覚えてもらいやすいですからね、と。
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