02 破壊の音色

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 優は嬉しそうに笑う。  腕を吹き飛ばされた少年は、涙目で優の方を見ている。 「痛い……痛い……痛い!」  ただ少年は怯えることすらできなかった。  他の少年少女たちもなにが起きたのかわからない。 「ねぇ、君たちはどうして僕をイジメるの?」  優の言葉に少年少女たちは、ただ怯えるだけ。  逃げようとひとりの少女が走った。  それに続けとばかりに他の少年少女たちも同じ方向に逃げた。 「よいしょ」  優は自分の足元を爆発させ少年少女たちの前まで飛んだ。 「な、なんなんだよ?  お前は……!?」  ひとりの少年がそう言った。 「そんなことより僕の質問に答えてよ」  優が小さく笑う。 「そんなのわかんないよ!」  少女がそう言った。 「『わかんない』かー  でも、僕にはわかるよ?  君たちは僕が弱いからイジメていたんでしょ?  現に僕が力に目覚めたら……  案の定、逃げる……  僕に力がなかったからイジメていたんだ。  だから、僕は復讐する。  君たちとこの世界に!」  優は、ひとりの少年の肩に手を触れる。 「なにするんだよ!」  少年は恐怖を押え優の体を押した。 「僕は、力を得たんだよ?  選ばれたんだ……」 「お前なんかに負けてたまるかよ!」  少年たちが一斉に優を殴ろうとした。 「どかん!」  優のその言葉とともに少年の肩が爆発した。 「あ……ああ……」  少女のひとりがその場で腰を抜かした。 「僕はね、力を得たんだ」  優はそう言って倒れた少女の頭をポンポンと叩いた。  そして、少女の唇にキスをした。 「い、いや……」  少女は首を横に振り涙を流す。 「僕の能力はね、触れたモノを爆発させる力なんだ」  その言葉を聞いた少女は、涙がボロボロと溢れる。 「こ、殺さないで……!?  なんでもするから!  殺さないで!」  少女が、優に頼んだ。 「君さ……  僕が助けを求めているときなんて答えた?」 「……謝るから許して!?  おねがい!なんでもするか――」  少女のその言葉を最後まで言うことなく顔が爆発した。 「殺さないよ。  火傷程度に留めていた。  君たちは一生、ハンデを背負って生きるんだ」  優は、そう言ってその場にいた少年少女たちの体に触れていった。  そして、爆発した。 「はは……ははは!  あははははははははは!」  優は楽しくて楽しくてたまらなかった。  力を得た自分。  力に目覚めた自分。  そして、絶対的な可能性。  自分は、この力ですべてを手に入れる。  金も女も、今の自分にならすべてが手に入る。  そんな気がしたから……  優は、そのまま走った。  爆発の力に目覚めた優は、周りにいた通行人などを破壊しながら走った。
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