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ヒーローがひとりまたひとりと吹き飛ばされていく。
ヒーローに触れなくてもいい。
地面に触れれば地面が吹き飛ぶ。
単純な話だった。
優は、自分の力に酔いしれていた。
「ははははは!
ヒーローが!こんなに簡単に倒せるよ!
ヒーローなんていらないよね!
僕を助けてくれなかったヒーローなんて!
いらない!いらないんだ!
芸術が爆発するんじゃない。
爆発こそが芸術なんだ!!」
嬉しそうに笑う優。
全てを手に入れた気になっていた。
お金がなくても奪えばいい。
性欲を満たしたければ強姦すればいい。
逆らうものは皆殺し。
今まで自分が奪われたお金。
そして、傷付けられた心と体。
優はそれを奪い返すように他人を傷つけていった。
「さぁ!
君たちが正しいのなら僕に勝ってみせなよ!
勝った人が正義なんでしょ?
だったら僕が正義だ!
これからは、お金も女の人ももみんなみんな僕が独り占めするんだ!」
優は、そう言って地面を踏む。
すると色んな場所から火柱があがる。
優はあたりを見渡す。
満たされない欲求。
それをぶつける相手を探す。
するとひとりの女子高生を見つけた。
黒髪でショートカット。
可愛らしい顔立ちをし胸も大きかった。
「あは!君に決めたよ!」
優は、そう言ってその女子高生に近づく。
「え?あ……」
女子高生は、腰を抜かしているため動けない。
恐怖で動けない。
「君で僕は初体験を済ませるよ。
そして、君が性処理機第一号だ!
君だけじゃない!
この世の全ての女は僕の性処理機になるんだ!
君は誇っていいよ!その素晴らしい第一号になるんだか――」
優が、そこまで言いかけたとき頭に石ころが投げられる。
「ん?」
優は、石が飛んできた方に視線を向けた。
「はぁ。
これだから子どもは……」
セロだった。
セロがため息混じりにそう言った。
「なんだよ!
お前だって子どもだろ!」
優がそう言ってセロを睨む。
「……そうだな。
僕もまだまだ子どもだ」
「まぁ、どっちでもいいよ。
僕に逆らった君は死ぬんだ!
後悔しても遅いよ!」
優はそう言って地面を踏んだ。
しかし、何も起きない。
「相性が悪かったね」
「お前、何をしたんだ?」
優がそう言ってもう一度地面を踏む。
しかし何も起きない。
「僕は僕の能力で、空気密度を調整して酸素を消したんだ。
便利でしょ?僕の螺子の能力は……」
「螺子?」
セロの言葉に優は理解できないでいた。
それどころかパニックになっている。
「……まぁ、わかんないよね」
「さっさともとに戻せ!」
優が何度も地面を踏んだ。
しかし、なにも起こらない。
セロは、ゆっくりと指を鳴らした。
すると優は静かに苦しみだす。
「君の周りの酸素も奪うね。
これがいちばん手っ取り早いからね……」
セロは、そう言って小さく息を吐いた。
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