11人が本棚に入れています
本棚に追加
「わかった。
オトネ、一緒に行こう」
セロは、そう言ってオトネの前に手を出した。
するとオトネは、セロと握手した。
「はい。
風呂場までお供しますのです!」
するとセロは、迷いながら言った。
「いや、そうじゃなく。
荷物を持とうかなと……
重いでしょ?」
セロが、そう言ってオトネの荷物に手を当てた。
するとその荷物は圧縮されたかのように小さくなった。
大きさは親指大ほどの大きさである。
「さっすが!ご主人さま!
女の子の高感度をあげるのが上手ですね!
ご主人さま素敵です!
もう、ハグからキスまで差し上げちゃいたいくらいです!」
テンションがやたらと高いオトネ。
そして、テンションが低いセロ。
正反対の性格のふたりは、宛もなく歩き始める。
そして、一番最初に思い出の公園に向かった。
公園は時間が立っているのにもかかわらず、錆びれてなかった。
子どもたちは、元気に走りまわり。
笑顔、笑顔、笑顔。
そして、ほんの少しの涙。
セロの存在に気づいた子どもたちは、セロとオトネの周りに集まった。
「お兄ちゃん!
今日から冒険するの?」
話しかけてきたのは、探検が大好きな女の子の歩だった。
「うん。
そうだよ。
今日でみんなと暫くはお別れだね」
セロの言葉にぽっちゃりした男の子の元太が近づいてくる。
「ちょっと遊んでけよー」
するとちょっと小生意気でクールな男の子、充が言った。
「ダメですよ。
セロさんは、これから冒険に出かける予定なんですから。
きっと世界を救うヒーローになってくれますよ!
セロさんには、その実力がありますからね!」
充が自慢げに言った。
するとオッドアイが特徴的な男の子、隼人が言葉を放つ。
「……そうだね。
僕たちがセロさんの未来を左右しちゃいけないよね」
その一歩後ろに立ってうなづいているのが愛という名前の女の子。
愛はいつも何かに怯えて、いつも隼人の後ろに立っている。
「相変わらず仲良しですますね!」
オトネが、隼人と愛のふたりの頭を撫でる。
愛の表情が和らぐ……
愛はオトネの暖かい雰囲気がなんとなく好きだった。
「ですますの姉ちゃんも行くのか?」
元太の言葉にオトネは、ニッコリと微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!