01 ヒーローはいるかな?

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 するとセロのスマートフォンが唸る。 「あ、マスターから電話だ」  セロが、そう言って人差し指を立て口元に当てた。 「はい、皆さん。電話なのでお静かになのですますよー」  オトネが、そう言うと子どもたちは静かになった。 「はい、セロです」  するとセロの耳にマスターの軽い声が聞こえてくる。 「あ、セロさん。  ちょっと旅立ちは中止っす」  マスターのその声は、軽すぎたためセロにはそれが悪い冗談に聞こえた。 「マスター  その冗談、笑えませんよ?」 「冗談じゃないっす」  マスターが、そう言うとセロの声が低くなる。 「どういうことです?」 「ツヴァインのゲートが、そっちの街に開いちゃったみたいっす」  そして、マスターがケラケラと笑う。 「いや、笑いごとじゃないですよ?  それってかなりやばくないですか?」 「そうっすね。  かなりやばいですねぇー  ヒーローたちが、これからゲートを見つけて破壊するらしいんですが発見するには時間がかかりそうですね」  マスターの声があまりにも陽気なのでセロは不安になる。 「で、僕はいつ街を出れるのですか?」 「まぁ、しばらくはそこでせめて来る怪人たちの討伐に専念してください」 「……はぁ。  了解です」  セロはため息混じりにそれを了承した。 「じゃ、がんばってくださいね。  ミストロから何名か応援を呼ぶので、それまでふたりで耐えてください」 「……わかりました」  セロが、うなずくとのんきなマスターののんきな声で返される。 「ではでは、がんばってくださいねー!  今度美味しい紅茶をごちそうするっすね!  じゃ、また!」  マスターが、そう言って電話を切った。 「ご主人さま、マスターさんはなんて言ってたのです?」  オトネが、セロに尋ねた。 「しばらくここに待機だそうだよ」 「そうなのですか……  で、どうするのです?  孤児院に戻るのですますか?」 「どうしようか……」  セロは、今日から泊まる場所を考える。 「お兄さんも今日からも孤児院にいようよ!」  歩が嬉しそうにそう言った。
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