01 ヒーローはいるかな?

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 ――パン屋の山田 「いらっしゃいませー」  小さな女の子がそう言ってセロたちを出迎える。 「あ、桃ちゃん。  こんばんはー」  オトネが、ニッコリと笑いその少女の方に向かって挨拶をする。  少女の名前は、山田 桃。  好奇心旺盛な4歳だ。  そして、少し遅れて少年が挨拶をしに来る。 「あ、セロの兄ちゃんたちだ。  こんな時間に珍しいな!」  少年の名前は、山田 瓜。  少し照れ屋な5歳。 「や!」  オトネが、腕を上にあげ挨拶をする。 「太郎はいるか?」  清空が、そう言って瓜の方を見る。 「ああ。父ちゃーん。  清空さんたち来たよー」  瓜が、そう言ってカウンターの方に向かって声を出す。  するとカウンターの奥。  調理場から、青年と女性が現れる。  男の名前は、山田 太郎。  女の名前は、山田 萌。  瓜と桃の両親である。 「待ってましたよ。  ちょうといいマンションの空きがあってよかったっすよ」  太郎が、そう言って苦笑いを浮かべる。 「ふたりで、同棲……  いいわね、若いからなにがあるかわかんないわよ?」  桃が、ニッコリと微笑む。 「なにもおきませんから」  セロが、小さく反抗した。 「そう?残念ねー」  桃が残念そうにため息をした。 「じゃ、部屋に案内するっす。  2LDKで、Wi-Fiなどのネット機能など充実してるっすよ」 「それは、助かります」  太郎の言葉にセロがニッコリと笑う。 「マンションは、ここの裏っすよ」  太郎がそう言ってドアを開け、パン屋の山田から出た。  そのあとをセロにオトネ、清空がついていった。
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