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扉も相当古ぼけていた。少女は持ってきたランプの灯りを頼りに、中を進んでいくと――埃を被った骨董品の数々があった。それがどれほどの価値があるものなのか、興味もない。
そしてたどり着いた先にあったのは書斎だった。
「何か置いてあるわね。……手記のようだけど」
ぱらぱらと捲る。ところどころ破れているようだが、読めないこともない。
「なになに……この屋敷に生まれてくる子供は数日もしないうちに死んでしまう。とある占術師にみてもらったところ、どうやらずーっと昔から続く因果なのだと解った。
深く結び合った兄と妹がいた。しかしそれは一族によって引き裂かれる。そして、妹は赤子を孕んでいた。外界から閉ざされた空間で、呪歌を紡ぎ――“子供が生まれる度死に、狐面となって庭に咲くでしょう。お前たちの罪が消えることはない、何をしようと、何度だって、狐面は蘇るでしょう”」
舌を噛み切って死んだ妹。
儚く微笑みながら死んでいった兄。
少女はなるほどなと、小さくつぶやいた。
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