一年前

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一年前

 パイプベッドが軋む音に俺はうっすら目を覚ます。  常夜灯だけの薄暗い部屋。  微かに瞼をあけると隣に眠る愛美(まなみ)が身体を起こしこちらを覗いているのがわかる。  やがて熱い息が頬を撫でた。吐息のような声が漏れる。 「(しゅん)。そろそろ結婚したい」  愛美の声は沈黙に消える。だが、その言葉は俺の耳にこびりつく。  俺は布団を引き寄せ、彼女に背を向けた。  結婚はしたくない。 「ねぇ……結婚」  愛美の火照った体を背中に感じたとき、こいつとは終わったと思った。  翌朝。俺は愛美と別れた。
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