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直哉は俺にしか見えない
「誰ってこいつだよ」
直哉を指さすが愛美は不思議そうな顔をする。
そのあいだにも直哉は愛美の周りを歩きまわっている。なのにまったく反応がない。まるで見えていないみたいだ。
こいつが見えないのか。
独り言のように呟くと、直哉が言った。
「僕はおじさんにしか見えないんだ」
「どういうことだ」
「秘密。それ言っちゃうと僕は……」
直哉はうつむいた。
この世には理解できないものがある。こいつはそういう類のやつか。
俺はまじまじと足元を見た。ちゃんとある。
不思議なことにそれからしばらくすると直哉の姿はなかった。
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