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つまり、静にとっては、ウィルになってしまった、という事象に関しては懐疑的だが、今の直人の状況は心配だ、ということか。いかにも静らしい冷静な判断だった。
もちろん、本当はウィルになったことも信じてくれれば一番いいのだけど。なんにせよ、親身になってもらえるのならありがたい。
内心ちょっとだけほっとしていると、口元に手を当て考え込んでいた篠塚が、ふと思いついたように口を開いた。
「毎回同じ猫になってるんですよね?」
「ん? そうだけど」
「その猫、何か特殊な猫なんじゃないですか?」
――ウィルが? 特殊な猫?
思いがけない発言に、瞬時には反応できなかった。直人自身、猫になってしまう、などと冗談みたいなことを相談しているわけだが、篠塚の発言はそれに輪をかけてバカげている。
ふざけているのかと思って、狭いテーブル越しに肩を叩こうとすると、真向かいにすわる静の顔が目に入った。切れ長の目を見開いて宙を見ている。
「え? 遠野?」
「そういえば……」
かすれた声の呟きは、店内を流れるにぎやかな音楽のせいで、うまく聞き取れない。
「え、何? なんかあったっけ」
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