七月十一日 木曜日

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 音を立ててカーテンを引く。すると、隣家の窓辺に静が立っていた。  ちょうどウィルを回収しようとしたところだったらしい。突然現れた直人を見て目を丸くしている。 「先輩……」  手の中にいた小柄な猫は身軽に静の腕を駆け上がり、肩にたどり着いた。そのまま器用に身体を伏せて丸くなる。  静が驚いた顔を見せたのは一瞬のことだった。瞬きする間にいつもの不機嫌そうな顔に戻るから、がっかりしてしまう。片想いしている相手が、対自分には仏頂面が標準装備、というのはさすがにちょっと悲しい。  静は首に巻きついてきた毛足の長い尻尾を鬱陶しそうに払って、口を開いた。 「さっき、母から返信がありました。ウィルたちをくれた……ダニエラの電話番号が分かりました」 「マジか!」 「はい。それで、すぐに電話をしてみましたが、つながりませんでした。後でまたかけてみます」  カーテンレールをゆるく掴んで立っている静は、微妙に直人から目線をそらしている。元々だらだらしゃべるタイプではないけど、今日は特に切り口上で、取り付く島が無い。 「そっか。ありがとう」 「いえ……じゃあ」
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