七月十一日 木曜日

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 頷くと、話は終わった、とばかりに静は窓ガラスに手をかけた。今にも閉めてしまいそうだ。  やっぱり、避けられてるのだろうか。また、あの中学生の頃みたいに、理由も教えてもらえないまま、会話がなくなる? 「遠野!」  焦って、思ったよりも大きな声が出てしまった。眉を顰めた静は、はっきりと迷惑そうな顔をした。  さすがにここまで拒絶されると、真っ向から向き合うのは怖い。だけど、このまま一方的に疎遠にされてしまうのは、いやだ。  整った顔がこれ以上歪むのを、なるべく視界に入れないようにして、直人は一息で吐き出した。 「今日はこっちこないの?」  何気なさを装って、窓枠に腕をついて笑いかける。静は少し迷ってから、窓の桟にかけていた手を下ろしてくれた。一応、まだ会話を続ける気があるのだと知って、ほっとする。  だけど、彼の口から出た回答はにべもなかった。 「行きません」  静はいつも、直人の意見を聞かずに何でも勝手に決めてしまう。 「何で」  それが悔しくて、即座に切り返したら、彼は一瞬目を見張った。怒ろうとしたのか、笑おうとしたのか。迷うように動いた唇は、結局ゆるく弧を描き、苦笑に変わる。
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