七月九日 火曜日

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 自分としてはそうおかしなことを言ったつもりはないのだが、真横に座った後輩は完全にドン引きしている。  イケメンなのに女子に無愛想な静ならともかく、見るからに軽そうな篠塚にこんな反応をされるのは心外だ。  憤慨しながら周りを見回すが、なぜかみな視線をそらす。  互いに何かを無言で譲り合っていたが、結局直人の正面に座っていた優が背中を押される形で、しぶしぶ口を開いた。 「あのさ、直人って、いつもいっしょに通学してるひといるでしょ?」 「何だよまわりくどいな。遠野のこと? 家横だし、同じ学校なんだから、たまたまいっしょになるだけだって」 「お昼ごはんもいっしょに食べてない?」 「……入学してそろそろ三ヶ月経つけど、あいつやっぱりクラスに友達いないのかなぁ。おれ以外にはわりと普通にいいヤツだと思うんだけど、基本愛想ないもんな」 「で、いっしょに部活して」 「同じ部活だし」 「それから、いっしょに帰ると」 「だから横ん家だし。え、なに? あんまり仲いい友達がいると彼女が出来にくいって言いたいの? 大丈夫だよ、あいつおれのこと嫌いだし」
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