七月十二日 金曜日

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「お前がそんな、ファンタジーな話信じるなんて。どうしちゃったの」 「別に、信じてはない。そもそもアンタが最初に猫になった、なんてファンタジーなことを言い出したんだろう」 「それはそうなんだけどさぁ……」  相変わらず毎晩ウィルにはなっているが、別にそれだけで、よく考えたら特に害はない。おそらく時間にしてもたかが数分のことだし、夢だと考えて気にしなければいいのかもしれない。  しかし楽観的になりかけた瞬間、今朝起き抜けに感じた恐怖を思い出して、直人はぶるりと身を震わせた。  朝起きる度に、言いようのない恐怖に襲われる。それが、一体どうしてなのか、理由もわからないのに、絶望だけが胸に残る。  足元が崩れていくような不安感は日に日に強くなっている。  俯いて歩いていたら、いつの間にか昇降口にまで来ていた。いつも通り、自分のクラスの下駄箱へ向かう静が背を向ける。その白いシャツを、咄嗟に直人は掴んでいた。 「ダニエラ、危ない、って言ってなかった? 命に係わるくらい、危険って」 「…………」
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