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静は答えない。静は昔から誠実で、嘘を言わない。
――大丈夫。何があっても俺が居る
ほんの数日前、初めて猫になった日の翌朝。半狂乱になった直人を、静は理由も聞かずに抱きしめてくれた。大丈夫だと、言ってくれた。
何があっても、助けることが出来ると思っていたから。
「し、死ぬかもしれないってこと……?」
だけど、こんな未知の状況では、何をどうすればいいのか分からない。助けるも何も、何が起こっているのかさえ、よく分かっていないのだから。
ぶっきらぼうだけど、その実やさしい幼馴染は、嘘を言わない。ただ目を伏せて、握る手に力をこめる。
しばらくふたり、手をつないだまま、呆然と立ち尽くしていた。
寝ている間に隣家の飼い猫になってしまう。しかし、そのとき起きた出来事を当人に訊いても、そんなことはなかったと否定される。
現実に起きている出来事なのかすら、いまだに分からない。そんな中、今度は命に係わる危険が迫っている可能性が出てきた。
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