七月十二日 金曜日

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 煌々と光る蛍光灯を背に、少年は立っている。しっとりと濡れた髪をかき上げ、現れた精悍な目元は少しやつれていた。何だか昼間見たときよりさらに疲れているようだ。 「あれ? 静、昼寝しなかったのか?」 「色々することがあって。……あぁ、もうこんな時間か」  握りしめた拳で目を擦る仕草も、いつになく緩慢だ。この分だと今夜はもう寝るつもりなのかもしれない。静が横になる前に、と直人は急いで口を開いた。 「なぁ、おれ、今日お前の部屋で寝てもいい?」 「ダメ」  勇気を出して頼んだのに、即座に断られた。いつからか静は直人を部屋に呼んでくれなくなったけど、今日は事情が事情だから入れてくれるかと思ったのに。 「何でだよ」  迷うそぶりすらなくて、ちょっと傷つく。 「不安なら、俺がそっち行きますから」  自分でも薄情すぎると思ったのか、静は取り繕うように言い添えた。まるでウィルに話しかけるときみたいな、やさしい声だ。長身を屈め、掬い上げるように顔をのぞきこまれると、大事にされているみたいでうれしくなる。
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